サンズ選手のファインプレーと倉本選手のミス
先程ストーリーに掲載したプレーについて解説します。7月31日タイガース対ベイスターズ、3対3で迎えた10回表、1アウト1.2塁でバッター大和選手が打ち上げたレフト後方へのフライをサンズ選手が捕球、2塁に返球し飛び出していた2塁ランナー倉本選手もアウトで3アウトチェンジというシーンです。
結論から先に言うと倉本選手のミスです。サンズ選手のナイスキャッチではありますが、倉本選手のミス、それ以上でもそれ以下でもありません。もちろんラミレス監督は倉本が悪いとは言いませんが、あれは決してサンズ選手に取られたからしょうがないで済ましていいプレーでは無いですね。
では倉本選手はどうすれば良かったのでしょうか。
答えは、ハーフウェイorタッグアップ(タッチアップ)の準備です。個人的にはタッグアップの準備かなと思います。
まず、あの打球をサンズ選手が取れず、転がって行った場合について考えましょう。ハーフウェイならもちろんですし、タッグアップの準備をしたとしても2塁ベース付近からでも倉本選手の走力なら帰れます。飛び出さなくても間に合うのです。もっと言えばあの打球が抜けた場合、甲子園のフェンスは柔らかくあまり跳ね返って来ないためまず間違いなくホームまで帰れるはずです。さらに甲子園のレフト、ライトは行ったことある方はわかると思いますが大きく膨らんでますよね。2塁からでも帰れると言えるのはそういう要素もあります。
そもそも1アウトランナー2塁で外野後方へのフライが上がった時に議論になるのはハーフウェイなのかタッグアップの準備なのかどっちかであって、飛び出すのは論外です。1塁ランナーは2塁付近まで行くのがセオリーですが、2塁ランナーは何点差でも飛び出しちゃいけません。ただ実際にプロが飛び出しているので理由をめちゃくちゃ考えましたが分かりませんでした。強いてあげるなら焦りですかね。
コーチャーが回してる?あの打球ならランナー自分で見える範囲です。
ではあの打球をサンズ選手がグラブに当ててこぼした場合について考えてみましょう。グラブに当たって足元に落ちた場合、飛び出していれば帰れます。ハーフウェイでもギリ帰れるかな。タッグアップの準備なら3塁ストップですね。でも考えてみてください。もし3塁ストップでも1アウトランナー2.3塁です。ゲッツーはほぼ無い場面で当たっている嶺井と、1番の梶谷ですから得点の確率は高いでしょう。
最後に、実際と同じ、サンズ選手が取った場合です。飛び出していた場合、ゲッツー。チェンジでベイスターズの勝利の可能性は無くなります。ハーフウェイなら2塁には戻れますので2アウトランナー1.2塁ですね。タッグアップの準備なら2アウト1.3塁ですね。
以上、3パターンの走塁と3パターンの守備で9種類考えてみました。いかがでしたか。
大学、社会人とかプロになるとあの状況で1アウトの時はどうするか?っていうのは大体チームで決めているはずだし、コーチャーも倉本選手も飛び出すリスクは理解してるはずなのでますますあのプレーになってしまった理由が分かりません。1点を取りたいという焦りと、サンズ選手が取れるわけないという油断ですかね。
まあプロも人ですから、ミスはしますがそのミスを極限まで減らす為に常に様々な要素を頭に入れてプレーするのがいい選手ですよね。
最後に、あの場面で倉本選手が頭に入れるべき要素をまとめます。
1.自チームの状況
自分の走力、次の打者、アウトカウント、1塁ランナーの走力
2.相手チームの状況
サンズ選手のシフトや打球の追い方、サンズ選手とショート熊谷選手の肩とコントロール、阪神のカットプレーの特徴
3.環境
甲子園のレフトの膨らみ、クッションボール、芝の濡れ具合によるボールの転がる速さ、風向き
ざっとこんぐらいですかね。足りてなかったら教えてください。まあ野球は頭脳のスポーツというだけあって頭に入れなきゃいけないことが多いですが、大学以上になるとこれくらいは当然のように要求されてきます。野球を見る上でもこういう事を考えながら見ると新しい見方が出来ると思うので是非考えてみてください。最後までお読み頂きありがとうございました。
オリンピックでの野球復活を願って
最近、野球人気の低下が日本だけでなくアメリカでも問題になっています。これは様々な要因が複雑に絡み合っているので一概にどうとは言えないのですが、野球は他の人気スポーツに比べて国際大会において後塵を拝してきたのではないでしょうか。
出典:ドリームチーム(バスケットボール)
(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ドリームチーム_(バスケットボール))
このメンバーは28年前のバルセロナオリンピックに出場したバスケットボールアメリカ代表です。この大会からNBA選手がオリンピックに参戦しました。メンバーを見てわかる通りNBAの中でもスーパースターが集い、ドリームチームと呼ばれたこのチームは圧倒的な強さで金メダルを獲得しました。
野球では2006年からWBCが開催され、近年ではアメリカや中南米でも盛り上がりを見せていますが、オリンピックでは公式種目から除外されるなど厳しい状況が続いています。だからこそこの東京大会に是非ともメジャーリーガーが参加して欲しいというのが私の主張です。
もちろん、バスケと違いシーズン真っ只中であり色々と難しい事は承知しています。しかし、野球でもドリームチームが結成されることが野球人気の一助になるのではないでしょうか。
オリンピックでまた種目に採用される為にはまず野球の国際大会を盛り上げていく必要があります。
昨秋のプレミア12での日本の優勝はまだ記憶に新しいですよね。また、WBCも年々観客動員数を伸ばしているのも事実です。実際、2017年のWBC決勝のアメリカ対プエルトリコはガチンコ勝負でワクワクした人も多いのではないでしょうか。この時はアメリカを初め中南米の野球強豪国もメジャーリーガーを多数招集し、大会のレベルも上がっていると感じました。WBCは3月開催であり投手の負担軽減やシーズンへの疲労の影響などまだまだ課題はありますが、今後もこのような真剣勝負の国際試合がもっと増えることを切に願ってやみません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
イチローの凄さのほんの一部分
まず初めに、私はイチローが大好きです。イチローが大好きでイチローが批判されるのは嫌いです。
イチローさん本人はなんとも思っていないんでしょうが、、。
ということで、今日はイチロー選手の凄さを少しだけ解説しようと思います。(以下イチロー選手呼び)
皆さんもイチロー選手がすごい事は十分理解していると思うし、今更彼の功績を挙げたところでキリがないのでそういうことはしません。
ただ今日言いたいのは、最近のOPSの過剰信仰で、イチロー選手を過小評価しようとしている人達に向けた反論です。まあイチロー選手が凄いのは攻撃面だけでなく高い守備力も兼ね備えている所なんですが、バッターとしてもメジャーリーグでも超一流なんですよね。ただ、最近は「四球を拒否してヒットをセコセコ稼いだだけ」といった趣旨でイチロー選手を貶すような人もいるんです。私はイチロー選手が大好きで、そういう奴らが許せないので、そいつらにイチロー選手の凄さをわからせてやろうという意図の記事です。
さてここからが本題ですが、イチロー選手のMLB通算OPSは.757と、平凡な数字に見えます。
これは困りました。確かにイチロー選手は積極的に打っていくタイプで四球は多くない為、OPSが伸びにくい事は否めません。しかし、彼の価値はヒットを打って終わりでない所です。つまり走塁ですね。
走塁面を評価するのは非常に難しくて、例えばランナー2塁からシングルヒットでホームインしたランナーを評価するのは非常に難しいです。ランナーが鈍足であればしばしば3塁ストップになってしまいますが、イチロー選手ほどの足であればだいたいは帰れるでしょう。
しかし、こういう走力の差を表す指標はあまり一般化していないんですね。「得点」で見れば良いじゃないかという意見もありそうですが、得点は後のバッターに左右されがちなので、正確に反映出来ているかと言うとそうじゃないんじゃないかと思っています。
しかし、走塁面で唯一わかりやすいものがありますね。そう、盗塁です。
イチロー選手は、MLB通算で509盗塁、117盗塁死を記録しています。
今回私は、この数字をなんとかOPSに反映出来ないかと考え、ある方法を思いつきました。
「通算塁打に509を足して、通算凡退数に117を足せばいいんじゃないか」
509盗塁117盗塁死というのはつまり、イチロー選手は自力で509回進塁し、117回アウトを増やしているという事です。
分かりやすく言うなら、2塁打を打って盗塁したらそれは3塁打と考え、シングルヒットを打って盗塁失敗したら凡退と考えるという事です。
出塁率改=0.343878697
長打率改=0.453291
つまりOPS改≒0.797
これでOPSがほぼ0.800になりました。イチロー選手の走塁能力的には普通のヒットでも多分平均のランナーよりずっと進塁してるはずなので0.830くらいいってもおかしくは無いと思いますがね、、。
しかし、とにかくこれでピート・ローズの通算OPSの0.784は抜きました。ピート・ローズと言えば通算安打数などで何かとイチローと比較される存在ですからね。まあここでピート・ローズのOPSも盗塁数込の値にしないといけないことに気づいたのですが、彼は198盗塁149盗塁死なので大して変わらないでしょう。とか言うとテキトーなブロガーだと思われそうなので頑張って計算しました。(それにしてもピート・ローズのスタッツ色々えぐいな、、)
過程は省きますが、ピート・ローズは
OPS改=0.789
でした。あぶねー。
とにかくこれで一応この計算式上は
が成り立ちました。
まあ2人とも大打者であることに異論はありませんし、賭博などでダーティなイメージのあるピート・ローズですが、個人的にはリスペクトしています。
伊達に4000本打ってないですよ彼も。
長くなりましたが、今日はイチロー選手の攻撃面での価値を少しでもわかって欲しくて書きました。
この計算式にどこまで整合性があるかはわかりませんが、すぐ計算できる割には盗塁を評価できてわかりやすいかなとは思います。
イチロー選手の凄さは他にもたくさんあるのでとても語りきれませんが今後もちょくちょく書いていこうと思います。
長文最後までお読み頂きありがとうございました。
また、次回の記事もよろしくお願い致します。
2番に強打者が増えた理由
一昨年あたりから日本球界(以下NPB)でも2番にいわゆる繋ぎタイプの打者ではなく、強打者を置くチームが多くなってきました。
ヤクルト青木、Denaソト、日ハム大田などいままでのいわゆる2番打者のイメージとは違う、長打のあるバッターが増えてきました。
これはメジャーリーグ(MLB)での2番に良いバッターを置くという5年前ぐらいからのトレンドが日本にも浸透し始めたものです。
日本のファンにも馴染み深い選手でいうと、エンゼルスのトラウト、ヤンキースのジャッジ、ブリュワーズのイエリッチ等がその代表例でしょう。
ではなぜ、2番打者に小技タイプではなく、長打力のあるバッターを置くのでしょうか。
大雑把に2つの理由を説明していきます。
そもそも大前提として、野球は先制点を取った方が圧倒的に有利です。そのためには相手ピッチャーの肩が出来上がっていない初回から点を取りたいわけです。
そこで、いくら小技が上手くても打率.250そこそこの選手を2番に置いていると、ランナーを進めることは出来たとしても、初回からビッグイニングを作りにくいのです。
また、いくら良い1番打者がいてもおよそ6割の確率で1アウトランナー無しで2番に回ってくるので、いくら小技が上手かろうが塁に出ないとクリーンナップに回せないのです。
さらに終盤で3点ビハインドでノーアウトから1番が塁に出たとしましょう。ここで2番が小技タイプだったらどうでしょうか。この攻撃では3点以上取らなければならないのでバントして相手にアウトをあげている場合ではないということですね。
これが強打者を置きたい理由の1つ目です。
ちなみに、そもそもランナー1塁からバントをすると、そのランナーの生還率はほとんど変わらず、得点の期待値はむしろ下がるという統計もあります。
これはNPBのデータなので、守備のレベルが違う高校野球などではまた違ってくるとは思いますが、ランナー1塁、特にワンナウトからのバンドははっきりいって効果的ではありません。
強打者を置きたい2つ目の理由は、良いバッターに多く打席に立ってもらいたいという事です。
打順が下がるとその分なかなか回ってこなくなるので打席数が減っていきますよね。NPBでは2番でシーズンフルに出ると少なくとも600打席は立てます。しかし、例えば6番だとどんなにチームが打ちまくっても550打席が限界でしょう。ここで50打席変わるんです。良い打者なら50打席でホームラン3本、ヒット15本は変わります。つまり良いバッターを下位打線に置けば年間でかなり損することになるんですね。
これが2つ目の理由でした。
さて、2番打者に求められる特徴は主にこの2点です。
・脚が遅くない(出来れば左打ち)
ランナー無しでの出塁と、ランナー有りでの打点の両方を期待することが出来ます。
脚が遅くないと良いのは、1番打者が1塁にいる時、ダブルプレーの確率を減らしたいことと、自身が出塁したあと、クリーンナップのヒットで生還率を上げたいからです。左バッターであれば尚更ダブルプレーのリスクは減らせますね。
ここで断っておきたいのですが、僕個人の意見としては後ろにいいバッターがいる、特に4番がしっかりしている事で、2番に強打者を置く意味が出てくると思っています。
ヤンキースにはスタントンがいるのでジャッジを2番に置ける、日本でいうなら筒香ありきの2番ソト、岡本ありきの2番坂本という事です。
大体チームに2人は良いバッターがいるので、その中でどちらかというと足も速いというタイプを2番に置きたいですね。
しかし、パ・リーグを2連覇した西武では源田が2番を打っているというのも事実であり、ただ確率だけで野球が出来る訳では無いというのも認めます。(西武も2番外崎にしたらもっと強いと思うけど、、、)
今日は2番打者について考えてきましたが、皆さんの2番打者像が少し変わったでしょうか。プロ野球を見る上で打順を気にすると色々と見えてきますよ。
今度は4番に求める能力についても考えたいと思います。
皆さんこんにちは
ブログにお越しいただきありがとうございます。
今日から、不定期ではありますが野球について色々と語っていきます。
少しでも野球に関する知識や面白さを伝えられれば良いなと思います。
今日は挨拶だけとさせて頂けますが、最後に僕が感銘を受けた、あるメジャーリーガーの名言で締めます。
アトランタ・ブレーブス一筋20年、背番号10番はチームの永久欠番であり史上最高のスイッチヒッターの1人である、チッパー・ジョーンズ氏より。
「他の誰よりも練習する」こと、
そして一生懸命に練習することと
学ぶことの大切さを理解すること。
その理念さえ持っていれば、
たとえメジャーリーガーになれなくても、
人生におけるメジャーリーガーになれる。
それでは。