2番に強打者が増えた理由

一昨年あたりから日本球界(以下NPB)でも2番にいわゆる繋ぎタイプの打者ではなく、強打者を置くチームが多くなってきました。

ヤクルト青木、Denaソト、日ハム大田などいままでのいわゆる2番打者のイメージとは違う、長打のあるバッターが増えてきました。

これはメジャーリーグ(MLB)での2番に良いバッターを置くという5年前ぐらいからのトレンドが日本にも浸透し始めたものです。

日本のファンにも馴染み深い選手でいうと、エンゼルスのトラウト、ヤンキースのジャッジ、ブリュワーズのイエリッチ等がその代表例でしょう。

 

ではなぜ、2番打者に小技タイプではなく、長打力のあるバッターを置くのでしょうか。

大雑把に2つの理由を説明していきます。

 

そもそも大前提として、野球は先制点を取った方が圧倒的に有利です。そのためには相手ピッチャーの肩が出来上がっていない初回から点を取りたいわけです。

そこで、いくら小技が上手くても打率.250そこそこの選手を2番に置いていると、ランナーを進めることは出来たとしても、初回からビッグイニングを作りにくいのです。

また、いくら良い1番打者がいてもおよそ6割の確率で1アウトランナー無しで2番に回ってくるので、いくら小技が上手かろうが塁に出ないとクリーンナップに回せないのです。

さらに終盤で3点ビハインドでノーアウトから1番が塁に出たとしましょう。ここで2番が小技タイプだったらどうでしょうか。この攻撃では3点以上取らなければならないのでバントして相手にアウトをあげている場合ではないということですね。

これが強打者を置きたい理由の1つ目です。

ちなみに、そもそもランナー1塁からバントをすると、そのランナーの生還率はほとんど変わらず、得点の期待値はむしろ下がるという統計もあります。

これはNPBのデータなので、守備のレベルが違う高校野球などではまた違ってくるとは思いますが、ランナー1塁、特にワンナウトからのバンドははっきりいって効果的ではありません。

 

強打者を置きたい2つ目の理由は、良いバッターに多く打席に立ってもらいたいという事です。

打順が下がるとその分なかなか回ってこなくなるので打席数が減っていきますよね。NPBでは2番でシーズンフルに出ると少なくとも600打席は立てます。しかし、例えば6番だとどんなにチームが打ちまくっても550打席が限界でしょう。ここで50打席変わるんです。良い打者なら50打席でホームラン3本、ヒット15本は変わります。つまり良いバッターを下位打線に置けば年間でかなり損することになるんですね。

これが2つ目の理由でした。

 

さて、2番打者に求められる特徴は主にこの2点です。

OPSが高い(出塁率が高く、長打もある)

・脚が遅くない(出来れば左打ち)

OPS(OPS=出塁率長打率)が高い打者であれば、

ランナー無しでの出塁と、ランナー有りでの打点の両方を期待することが出来ます。

脚が遅くないと良いのは、1番打者が1塁にいる時、ダブルプレーの確率を減らしたいことと、自身が出塁したあと、クリーンナップのヒットで生還率を上げたいからです。左バッターであれば尚更ダブルプレーのリスクは減らせますね。

 

ここで断っておきたいのですが、僕個人の意見としては後ろにいいバッターがいる、特に4番がしっかりしている事で、2番に強打者を置く意味が出てくると思っています。 

ヤンキースにはスタントンがいるのでジャッジを2番に置ける、日本でいうなら筒香ありきの2番ソト、岡本ありきの2番坂本という事です。

大体チームに2人は良いバッターがいるので、その中でどちらかというと足も速いというタイプを2番に置きたいですね。

 

しかし、パ・リーグを2連覇した西武では源田が2番を打っているというのも事実であり、ただ確率だけで野球が出来る訳では無いというのも認めます。(西武も2番外崎にしたらもっと強いと思うけど、、、)

 

今日は2番打者について考えてきましたが、皆さんの2番打者像が少し変わったでしょうか。プロ野球を見る上で打順を気にすると色々と見えてきますよ。

今度は4番に求める能力についても考えたいと思います。